HubSpotとSalesforceを比較!自社に最適なのは?

CRMツールの中でもHubSpotとSalesforceは知名度が高く、どちらを導入しようか迷っている企業担当者様も多いのではないでしょうか?できることなら導入前に違いを知り、検討材料にしたいと考えるのは自然なことだといえます。

今回は、HubSpotとSalesforceの機能・料金・特徴の違いを徹底比較しました。比較する際のポイントや、各ツールに向いている企業の特徴についても挙げています。

自社にマッチしたツールを選ぶためのご参考として、ぜひチェックしてみて下さい。

HubSpotとSalesforceとは?

CRMやSFAといったデジタルツールを導入する際、候補として挙がることも多いのが「HubSpot」と「Salesforce」です。まずはそれぞれの概要を把握しておきましょう。

Habspot(ハブスポット)とは

Hubspotは、世界的シェアを誇るCRMツールです。ビジネスに欠かせないマーケティング・セールス・カスタマーサポートに関する機能を全て網羅したツールとして120ヵ国、17.7万社以上の導入実績があります。

CRMとしての顧客管理機能はもちろん、MA・SFA・CMSなどの機能と連携ができ、自社に合ったカスタマイズが手軽に行える点も魅力です。

必要な機能を取り入れることで、マーケティング、セールス、カスタマーサポートといった幅広い業務の自動化・効率化が叶います。

Salesforce(セールスフォース)とは

SalesforceはHubSpotと同じく、世界シェア15万社の実績を誇るクラウドベースのCRMツールです。

営業、カスタマーサービス、マーケティング向けの各種アプリケーションが揃っている点が特徴で、リードの獲得や管理、カスタマーサポート、契約管理、販売予測、ダッシュボードなどの充実した機能を活用すれば、顧客管理・営業活動の自動化、効率化が実現します。

またSalesforceは高いカスタマイズ性を有しており、自社に合った設計・運用がしやすいことも大きな特徴となっています。

HubSpotとSalesforce比較

HubSpotとSalesforceはどちらも優れた機能を持つツールですが、機能や導入までのハードル、料金などさまざまな違いがあります。

2つのツールを詳しく比較し、自社に合ったツールを選ぶための参考にしてみましょう。

主な機能

HubSpotとSalesforceは、MA、SFAなどの機能を連携することで幅広い業務をカバーできるようになります。

連携できる機能はHubSpotが5種類、Salesforceでは業務領域に応じてより細かく分けた機能を連携できます。

【HubSpotで連携できる機能】

サービス名詳細
Marketing Hub顧客創出から育成、絞り込みを実現できるMAツール
Sales Hub商談データやEメール・電話のトラッキングを記録したり、
進捗状況や営業資料の記録・共有、見積作成などの機能が
備わった営業支援ツール。フォームやWebチャット等の
コミュニケーション機能も搭載している
Service Hub顧客対応データの一元管理・自動化する機能により、
カスタマーサポート、顧客体験(CX)を強化するツール
CMS Hub手軽にWebサイトなどの編集、最適化ができるコンテンツ・
マネジメントシステム
Operations Hub顧客データの動機・整理やデータのクリーンアップ、プロセスの
自動化機能など、業務オペレーションの効率化・最適化を
支援してくれるツール

【Salesforceで連携できる機能】

サービス名詳細
Sales Cloud商談管理、営業活動の自動化、売上予測などの機能を活用し、業務の自動化・効率化を支援してくれるツール
Marketing CloudSalesforceに蓄積した顧客データを用いて、顧客ひとりひとりにパーソナライズされた最適なマーケティングを行うMAツール
Account Engagement(旧Pardot)リードの属性や行動・興味関心などをトラッキング・スコアリングし、有効なリードの創出、選別に活用するツール
Service Cloudサービスプロセスの自動化やAIを活用した対応の最適化などにより、カスタマーサポートを効率化するためのツール
Experience CloudSalesforceと顧客・パートナー企業がコミュニケーションを行うためのポータルサイト、ヘルプフォーラムなどを作成するツール。
Salesforce Platformローコード開発によるアプリの構築・実行・管理・最適化ができるツール
Tableau膨大な蓄積データを分析・予測して経営判断を行うための分析プラットフォーム
Chatter機能グループ投稿、オブジェクト投稿などができる社内向けのチャット機能

導入のハードル

HubSpotはシンプルで導入工数が少なく、かんたんに導入できる点が魅力です。導入障壁が低いツールは定着につながりやすいため、CRM/SFAなどのデジタルツール導入に不安がある企業には特におすすめです。

一方、Salesforceは機能が多くカスタマイズがしやすい反面、使いこなせるまでに時間がかかる傾向にあります。ただし、専任担当者が要る企業、外部の導入サポートなどを受けられる企業であればスムーズに導入できます。

料金の違い

HubSpotとSalesforceにおいて、機能ごとに複数のプラングレードを設けている点は同じです。

ただし、大きな違いとして「ユーザー単位での追加課金の有無」が挙げられます。

HubSpotの有料プランには2から10人までのユーザー数が割り振られており、人数内であれば追加の課金なく利用が可能です。営業活動を担当する有料ユーザー数を増やしたい場合は、追加料金を支払うことで利用できる仕組みとなっています。

一方Salesforceは、どのプランであっても1ユーザーにつきいくら、という課金方式を採用しています。

HubSpotの詳しい料金体系

HubSpotは5つの機能が無料からで使いはじめることができます。レポートの閲覧など一部の機能のみを使いたい場合は無料でも問題ありません。

ただし無料プランでは有料プランと比べると使える機能に制約があるため、より多くの機能を使いたい場合は有料プランへの切り替えが必要となります。

各機能についてはStarter、Professional、Enterpriseとプラングレードが上がるたびに使える機能範囲・料金が変化する仕組みです。

5機能のうちMarketing Hub、Sales Hub、Service Hubはグレードに応じてユーザー数が制限されており、規定ユーザー数を超える場合は1ユーザーにつき3,000円~14,400円の追加料金を支払うことで追加できるようになります。

また機能ごとのプラン変更にも柔軟に対応しているため、「Marketing HubとSales Hubだけグレードを上げたい」というふうに、必要な機能のみをアップグレードすることも可能です。

なおHubSpotでは「CRM Suite」というオールインワンパッケージも提供されています。

こちらは5つの機能をまとめて提供しているパッケージプランで、個別でアップグレードするよりも割安な価格で上位グレードの機能を利用できるようになっています。

【HubSpotの価格表】

サービス名StarterProfessionalEnterprise
Marketing Hub2,400円/月ユーザーは2名まで106,800円/月ユーザー5名まで432,000円/月ユーザー10名まで
Sales Hub2,400円/月ユーザー2名まで60,000円/月ユーザー5名まで144,000円/月ユーザー10名まで
Service Hub2,400円/月ユーザー2名まで60,000円/月ユーザー5名まで144,000円/月ユーザー10名まで
CMS Hub3,000円/月48,000円/月144,000円/月
Operations Hub2,400円/月96,000円/月240,000円/月
CRM Suite
(オールインワンパッケージ)
5,999円/月213,599円/月600,000円/月

※月払いの場合の価格

引用元:マーケティングソフトウェアの価格表 | HubSpot

Salesforceの詳しい料金体系

一方、Salesforceは一部機能を除き「ユーザー単位」での料金形態となっています。たとえばメインとなる「Sales Cloud」については、下記の料金がユーザー1名ごとにかかります。

【Salesforceの一部機能における価格表】

サービスEssentials※ProfessionalEnterpriseUnlimited
Sales Cloud3,000円/ユーザー/月9,000円/ユーザー/月18,000円/ユーザー/月36,000円/ユーザー/月
※Essentialsはユーザー10名まで
※年間契約での価格。Essentialsは月単位の契約も可能

引用元:

各種エディションと料金-Sales Cloud | セールスフォース・ジャパン

各種エディションと料金-Service Cloud Lightning | セールスフォース・ジャパン

また機能によっては独自のグレードプラン、課金方式を設けている場合もあります。(Marketing Cloud、Salesforce Platformなど)

なお、Salesforceには無料プランがありません。ただし、無料トライアルで使用感をチェックすることは可能です。

管理のしやすさ、使いやすさ

HubSpotは専門家の手を借りなくともCRMを管理できるよう設計されており、操作が直感的にわかるようなUIになっている点が大きな特徴です。

一方、Salesforceは自社に合わせてカスタマイズを行うことが前提のため、操作が複雑な傾向にあります。管理・メンテナンスをするには専任管理者を置くか、トレーニングを受ける必要があります。

関連機能の操作性、連携のしやすさ

HubSpotとSalesforceはどちらも関連機能の操作性、連携のしやすさに優れているのが特徴です。

MAツールを例に挙げると、HubSpotには「Marketing Hub」、Salesforceのは「Marketing Cloud、Account Engagement (旧Pardot)」といった機能があります。

どちらも優秀な機能があり、同一ツール内での機能を連携しやすいよう設計されていますが、「Marketing Hub」はSMS配信やプッシュ通知などが送信可能であり、他のHub機能と同じ操作なので直感的に使える点が魅力です。

一方、Marketing CloudやAccount Engagement (旧Pardot)は、Salesforce内で他の機能と連携し、営業支援、リードへのアプローチを効率的に実施できる点が魅力です。

こちらもSalesforceとUIが同じなので、もともとSalesforceを使っていれば違和感なく使用できるでしょう。

カスタマイズ性

HubSpotはシンプルで分かりやすい操作性に長けていますが、一方でSalesforceに比べると細かなカスタマイズが苦手な傾向にあります。ただしカスタムオブジェクトを使用し、柔軟にカスタマイズができる点は魅力といえるでしょう。

一方Salesforceは、拡張性に優れており、カスタマイズができる点が大きな魅力です。

そもそもSalesforceはカスタマイズを前提として作られているので、工夫次第で自社に合う形のツールへと変化させられます。

ただし、自社に合った形でのカスタマイズには開発コストや開発期間が必要になります。また場合によっては、外部の人材に委託するコストが発生する点に注意しましょう。

カスタマーサポート

HubSpotではWEBチャットや世界トップクラスのオンライン学習プラットフォーム「HubSpotアカデミー」が無料で利用できます。また有償版HubSpotでは、導入1日目から無償のサポートが受けられる点も魅力です。

Salesforceで24時間365日体制のサポート(Premierサポート)を受けたい場合は、契約価格の20%の追加料金が必要となります。

追加機能にアクセスする場合は30%の追加料金がかかるほか、契約価格によってサポート料金が変わるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。

ただしSalesforceには多数の日本語オンラインコミュニティが存在しているため、ユーザー間でのサポート体制は手厚いといえます。

HubSpotとSalesforceを比較検討する際のポイント

HubSpotとSalesforceを比較検討するなら、次の2つの観点から考えることが大切です。

導入目的を明確にする

HubSpotやSalesforceといったツールを導入する際は、「導入して何をしたいのか」「どんなことを実現したいのか」といった目的を明確にする事が重要です。

目的を叶えられる機能や特徴があるかを踏まえてツールを選定・導入すれば、「お金をかけて導入したのに欲しい機能が揃っておらず、やりたい事ができなかった」といった導入後の失敗を防ぐことができます。

導入や運用のコストを把握したうえで比較する

HubSpotやSalesforceを導入する際は、導入から運用にいたるまでのあらゆるコストを算出したうえで比較するとよいでしょう。

ツールは導入して終わりではなく、導入時の初期費用、運用にかかる利用料、開発・学習にかかる人件費など、さまざまな部分でコストが発生します。想定しうるコストをすべて計算してから比較することで、後から想定外のコストがかかる等の事態を防げます。

また、どちらのツールが適しているのかは確保できる予算によっても変わります。どれくらいの費用が掛けられるのかを踏まえたうえでベストな選択をしましょう。

HubSpotが向いている企業とは?

ここからは、HubSpotが適している企業の特徴をご紹介します。

低コストでツールを導入したい企業

HubSpotは無料で使える機能が多く、足りない機能があれば有料版に切り替えたり、必要な機能だけ導入したりできます。

必要な機能を必要なだけ契約して使えるため、なるべくコストをかけずCRMツールを導入したい企業や、お試しで使ってみたい企業に最適です。

MAツールの導入を検討している企業

HubSpotは「Marketing Hub」というMAツールが使えます。

Salesforceにも「Account Engagement」などのMAツールがありますが、どちらかというと営業支援寄りの機能が多くなっています。

一方Marketing Hubでは、無料でフォームを作成できるほか、Eメールや広告連携、ステップメールの送信も可能です。MAに必要な機能が揃っているため、顧客の創出や育成に役立てたい企業にとっては心強い味方となってくれるでしょう。

ちなみにMarketing Hub、Sales HubのEnterpriseプランには「予測リードスコアリング」という機能があります。これは予測機械学習アルゴリズムを活用し、接点のあった顧客が90日以内に購入・成約へ進む確率を予測する機能です。

こうした便利な機能を活用していけば、より効率的に成果を上げることができます。

自社サイトのSEO対策をしたい企業

HubSpotは自社サイトのSEO対策をしたい企業にも向いています。

HubSpotには自社のWebコンテンツ制作ができる「CMS Hub」というツールがあります。活用するとWebサイトや記事などのコンテンツが簡単に制作でき、ユーザーとの接触機会を増やすことができるでしょう。

アナリティクス機能を使ってサイトのパフォーマンスを測定・分析すれば、検索上位にヒットする施策を打ち出すことも可能です。

導入後のサポートを重視したい企業

HubSpotは導入後のサポートを重視したい企業にもおすすめです。

HubSpotでは公式の無料コミュニティが提供されており、ユーザー間でのサポートが活発に行われています。コミュニティ自体が活発で日本語版のコミュニティもあり、不安なことや分からないことをすぐに聞けるため、ツールの利用に慣れていない方でも安心して導入できます。

さらに、ベンダー側のサポートも充実しており、24時間電話サポートやチャットサポートが受けられます。無料・有料でのトレーニングプログラムもあるので、HubSpotの利用が初めてでも効率的に使い方を学べます。

Salesforceが向いている企業とは?

Salesforceの利用に向いているのは、次のような企業です。

細かなルールに対応できるツールを探している企業

企業規模が大きく細かな社内ルールが整備された企業では、カスタマイズ性に長けたSalesforceのほうが対応しやすいです。独自の社内ルールや細かなワークフローなどの自動化、効率化をしたい場合、Salesforceであればきめ細やかな対応ができます。

またSalesforceはユーザー数が多くなるほどコストが高くなる料金システムゆえ、企業規模が大きく、予算が多く取れる大規模企業ほど運用しやすいでしょう。

専任の運用担当者がいる(または確保できる)企業

SFAやCRMの導入経験があり、専任の運用担当者が配置可能な企業なら、Salesforceをうまく使いこなすことができます。

専任の運用担当者がいない場合、既存システムからの移行や学習にかかる時間やコストが必要になります。移行や学習、導入後の運用については他業務と並行して行うことになり、担当社員の負担も大きくなりがちです。

一方、もともとCRM/SFA専任の運用担当者がいる企業であれば、Salesforceを導入したあとのきめ細かなサポートが可能です。

複数部署にまたがって案件を一元管理している企業

複数部署にまたがって案件を一元管理している企業は、Salesforceが向いています。

複数の部署・チームで案件を管理している場合、各部のプロセスやデータが複雑に絡んでいるケースが多々あります。Salesforceなら顧客情報や売上分析・予測、営業日報、報告書といったあらゆるデータを同じツール内で一元管理できます。

別々のツールを使う場合に比べてシームレスな連携が可能となり、業務効率も上がるでしょう。

HubSpotとSalesforceは連携も可能

HubSpotとSalesforceは連携して使うこともできます。

具体的にはHubSpotはProfessionalかEnterpriseで、SalesforceはProfessional、Enterprise、Unlimitedのプランで連携が可能です。

ここでは、HubSpotとSalesforceで連携できるデータ、連携するメリットについてご紹介します。

連携できるデータの種類

HubSpotからSalesforce上には、フォームからの取得データ、ページの閲覧履歴、メール開封履歴、クリックデータなどが連携できます。

一方SalesforceからHubSpot上には、作成したカスタムフィールドがHubSpot上に同期されます。

連携するメリットは?

HubSpotとSalesforceを連携すると、マーケティング担当、営業担当それぞれにメリットがあります。

たとえばマーケティング担当は、リードとのコンタクト履歴やアカウントのデータといったSalesforceの営業データを利用し、フォローメールの送信、開封履歴の確認が行えるようになります。

また営業担当は、HubSpotで見込み客の興味・関心度を細かく把握しておき、Salesforceで営業活動を最適化することも可能です。

それぞれのデータやプロセスを共有することで、業務効率が向上し、効果的な営業活動ができるようになるでしょう。

マーケティングと営業間でのデータ連携を強化したい場合や、営業部門の業務の一部をマーケティング部門でもカバーしたい場合は、両ツールの導入・連携を検討してみる価値があるでしょう。

まとめ

本記事ではHubSpotとSalesforceの違い、比較検討のポイント、それぞれに向いている企業、両ツールの連携についてお伝えしました。

HubSpotやSalesforceのどちらが向いているのかは、企業規模や目的、予算や設計・運用担当者の有無によって大きく変わります。どちらのツールも優秀な機能を備えていますが、それぞれ得意なことや必要となるコストが変わってきます。

生産性の向上、成果の最大化を目指すには、自社に最適なツールを選び、適切なコストで業務の効率化・最適化を叶えていきましょう。

なお当社アンドデジタルでは、中小・ベンチャー企業を対象に、HubSpotをはじめとするデジタルツールを活用した総括的なセールス・マーケティング支援を承っております。

企業で抱える課題の抽出・目標設定などのコンサルティングからCRM・SFAツールの導入・活用支援、データ環境の構築支援まで、伴走型でのサポートが可能です。

「CRMやSFAといったツールの導入実績がなく、どちらを選べばいいか分からない」

「導入してもうまく活用できるか不安」

「別のCRMやSFAツールを試したことがあるか、定着しなかった」

このようなお困りごとがありましたら、ぜひアンドデジタルへご相談ください。

本記事がHubSpotやSalesforceの導入でお悩みの方のお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。