HubSpotのリードスコアリング機能とは?設定・活用方法を解説

HubSpotには見込み客をスコア化して“評価”できる「スコアリング」という機能があります。スコアでリード選別を自動化し、効率的に「質の高いリード」の獲得が叶う機能です。

本記事ではHubSpotのスコアリングの機能や利用メリット、設定方法を徹底解説。加えてスコアリングの注意点、活用例についてもご説明しています。

リード選別において営業活動の効率化を目指したい方、成約率を高めたい方はぜひ参考にお読みください。

HubSpotのスコアリングとはどんな機能?

HubSpotのスコアリング機能とは、リード(見込み顧客)の見込み度合いに応じて点数付けを行う機能です。顧客の絞り込み、いわゆる「リードクオリフィケーション」に用いられる機能で、「Marketing Hub 」「Sales Hub」「CMS Hub」などの Professional、Enterpriseアカウントで使用できます。

HubSpotのスコアリング機能では、顧客の「属性・行動・活性度」をもとにスコアリングルールを設定することができ、自動でスコアリングが行われます。

さらに一定値以上のスコアをマークした顧客(ホットリード)を営業担当者に通知するワークフローも設定できるなど、営業・マーケティング活動の効率化に欠かせないツールとなっています。

参考:HubSpot(ハブスポット) | 貴社のビジネスに最適なCRMツール

HubSpotのスコアリングを利用するメリット

HubSpotのスコアリング機能を活用すると、さまざまなメリットが得られます。

優先度の高い顧客を判別することができる

HubSpotで見込み顧客をスコアリングして数値化すると、効率的にリード選別(リードクオリフィケーション)ができます。

先述のとおり、スコアとは顧客の検討状況を数値化したものです。

言い換えれば、購入の可能性をはかる指標となるものが「スコア」だといえます。

スコアをもとに顧客の優先順位付けから優先度の高い顧客の選別までを行うことで、より確度の高い顧客に対し、多くの営業リソースを投入できるようになります。

これにより、営業活動の効率アップ、生産性の向上につながる効果が期待できるでしょう。

顧客の検討状況をより詳細に把握することができる

スコアリングで顧客の属性、行動、活性度を点数付けすると、検討状況をよりくわしく把握できるようになります。

顧客の興味・関心は行動・活性度に表れやすいですが、そのままでは検討状況等を把握しにくいものです。

たとえば、「製品・サービスのトライアル利用をしたリード」とだけ聞くと、購入の見込みが高いと感じるかもしれません。

しかし、顧客が「トライアルはしたが購入までは考えていない」とすればどうでしょうか。企業側が検討状況を正しく認識できていないと、いくら営業活動を頑張っても成果には結び付きにくいでしょう。

そこでスコアリングを行い、顧客の行動・活性度を定量データ化すれば、「トライアル利用をしていて行動の数値が高いうえ、3日連続でサイトを訪問していて高い活性度スコアを獲得している。顧客は前向きに検討している」と判断できます。

このように顧客の検討状況がより詳細に把握できるようになれば、適切なセールスアクションが取れるようになります。もちろん、マーケティングにおいても同じことがいえるでしょう。

顧客育成をする基準を細分化することができる

HubSpotスコアリングの数値は、顧客育成(リードナーチャリング)基準の細分化にも役立ちます。

たとえばスコアリングでリードの検討段階を把握できれば、「優先度が高いリード」には営業活動を強化できるでしょう。反対に優先度が低い顧客には“顧客育成”にシフトし、関係性を育てていくことで購入へと繋げることができます。

「基準スコアが10点より低いリードには、メルマガを送信する」「基準スコアが15~20点のリード向けにセミナーを開催する」というように、スコアリング数値をもとに顧客育成基準を細分化していけば、各検討段階で適切な施策ができるようになります。

地道かつ適切な顧客育成を続けることで、見込み度の薄いリードをホットリードへ育成できる可能性も高まるでしょう。

HubSpotスコアリングの設定方法

ここからは、HubSpotスコアリング機能の設定方法について解説していきます。

1. ターゲットを決める

最初に、スコアリングのターゲットを決定します。

自社のターゲットとなる顧客像を洗い出し、「どんな課題を抱えているのか」「どういった属性を持っているか」「どんな行動をするのか」を洗い出します。すでにペルソナを作成している場合は、既存のペルソナを使ってもかまいません。

ここで決定したターゲットに対しスコアリングを行っていきます。

2.スコアリングの目的を設定

最初に決めたターゲットに沿って、リードスコアリングの目的を決めていきます。

具体的には「自社サイトからの製品の購入ダウンロード」「ECサイトでの商品の購入」「リードBtoB製品・サービスの契約」などが考えられるでしょう。

目的が変わるとスコアリングの内容・基準も変化するので、適切な目的を設定しましょう。

3.リードスコアリングの基準を決定

目的が固まったら、リードスコアリングの基準を決めていきます。

HubSpotスコアリングには「ポジティブ(加点)」と「ネガティブ(減点)」があり、購買につながりやすい属性・行動については加点での重みづけをします。反対に購買から遠い属性、行動などは減点されるよう設定していきます。

たとえば「会社規模が大きい、決裁権のある役職」といった属性、「製品の無料トライアルをした」といった行動は、購買につながりやすいため高得点を設定します。一方「代理店」「購買に関係ないサイトページの閲覧」などは、直接の購買につながりにくいため0点、または減点に設定します。

HubSpotスコアリングでは、スコアが加点される条件を左側(ポジティブ)に、減点される条件を右側(ネガティブ)に追加していくことでスコアの設定が可能です。

設定をしておけば、HubSpotが顧客データと条件を照らし合わせ、自動的にスコアリングしてくれるようになります。

ただし初めてリードスコアリングを行う場合、基準の決定が難しく感じることがあります。

そこで役立つのが「カスタマージャーニーマップ」です。カスタマージャーニーマップとは製品やサービスの認知~購買に至るまでのプロセス・体験を可視化した図です。

カスタマージャーニーマップを策定すると、顧客の属性、購買に至るまでの行動などがわかりやすくなります。これにより「資料請求をしたら+10点」「他社ツールを利用している場合は-20点」など具体的な要素に対してのスコアリングがしやすくなるのです。

4.スコアリング後のマーケティングアクションを決める

スコアリング基準が定まったら、スコアリング数値に応じた「マーケティングアクション」を決めていきましょう。

まずスコアリング数値に対し、ホットリードとして営業部門にトスアップする基準を決めます。

「行動のスコアが合計何点以上」でもよいですし、「各要素でそれぞれ○点以上」でもかまいません。

さらに、“トスアップ基準以下のスコアリング”を記録したリードに対し、どんなマーケティングを行うかを策定していきましょう。

「10点以下にはメルマガ配信」「20から30点以下には資料のダウンロード案内やキャンペーンの告知」というように、具体的なマーケティングアクションを決めておくと効率的な顧客育成につなげやすくなります。

5.スコアリング後のセールスアクションを決める

スコアリングの結果「ホットリード」としたリードに対し、どのようなセールスアクションを取るのかを決めていきます。

電話、メールといったアプローチの方法からスコアの高さに応じた営業トークなど、具体的なセールスアクションを詰めていきます。さらに、ホットリードに対する人員やコストなどのリソース配分を決定しましょう。

なおHubSpotには、リードスコアが一定値に達すると担当者に通知を送るワークフローを設定できる機能も備わっています。

この機能を活用すれば、「ホットリードに成長した見込み顧客へ素早くアプローチをかける」といった効率的な営業活動も実現します。

HubSpotスコアリング利用時の注意点

HubSpotスコアリングを使う際には注意点もあります。以下の3点を踏まえたうえで運用しましょう。

スコアを付けた先のアクションを見据えて基準を決定する

リードスコアリングを行う際には、スコアをつけた先のアクションを見据えて基準を決定する事が重要です。

たとえばスコアリングの目的が「商談で商品・サービスの契約につなげる」場合と、「ECサイトで商品を購入してもらう」場合では、スコア基準も変わってくるはずです。

目的に応じたスコア基準を決定することで、適切なタイミング・方法でのアプローチ、顧客育成につなげやすくなります。また適切なアプローチや顧客育成を続けることで、成果の向上や長期的な利益も期待できるでしょう。

顧客の行動に合わせてスコアを決定する

スコアリング基準は、顧客の「購買行動」に合わせて決定することを強く意識しましょう。

たとえばBtoBサイトにおいて、「自社製品の申し込み」を目的にスコアリングを実施するとします。ここで「採用ページの閲覧」などの購買につながらない行動を加点の対象にしてしまうと、スコアリング精度が低下してしまうのです。

よってこの場合、採用ページの閲覧は-15点、商品ページの閲覧は+10点、資料請求の申込は+20点というように、購買につながる期待値が高い行動になるほど配点を高くすると評価がしやすくなります。

またスコアリングでは、運用結果を定期的に振り返ることも重要です。

「各スコアの属性・行動が実際の購買と関連性が高いか」「評価が営業部門の商談、受注結果に結び付いているか」などを評価・改善し、スコアリングの精度を高めていきましょう。

改善がしやすいよう、大枠から設計を始める

スコアリングでは、大枠から設計を始めることをおすすめします。

初めから全ての行動をスコアに反映しようと複雑な設定をしてしまうと、「何の要素がどういう結果を残したのか」が検証しにくくなるからです。

あとから改善することを前提に大枠から設計していれば、結果の検証がしやすくなります。

そしてスコアリング結果を検証したうえで条件を詳細化していったり、加点・減点の点数調整を行ったりすることで、より最適なスコアリングが完成するのです。

HubSpotのスコアリングの活用例

HubSpotのスコアリング機能についてお伝えしてきましたが、実際にどのような活用ができるでしょうか。ここでは、具体的なHubSpotスコアリングの活用例をご紹介します。

リード選別の基準付けにスコアを活用する

スコアをもとにリード選別の基準付けをするのは、HubSpotスコアリングの基本的な使い方です。

たとえば属性や行動などをスコアリングし、〇点を超えたリードのみを「高スコア=見込みありのホットリード」として営業担当者に通知をする……というように、スコアをもとにリード選別の基準付けを行います。

成約の見込みが高いリードへ優先的に営業担当者を割り振れるようになれば、営業リソースの最適化ができます。また確度の高いリードのみにアプローチを行うため、営業生産性も向上するでしょう。

スコア毎に送付するコンテンツを変える

スコアごとに送付するコンテンツを変えることで、興味・関心や検討段階に応じた的確なマーケティング施策ができます。

たとえばサイトで商品ページを閲覧しただけの「行動スコアが低い顧客」には、自社の製品・サービスで解決できる課題についてのメールマガジンを配信し、顧客育成を行います。

一方、資料ダウンロードをした顧客などの「行動スコアの高い顧客」はどうでしょうか。おそらく、先ほどの顧客に比べれば興味関心が高いと判断できるはずです。

このようなスコアの高い顧客に対しては、無料トライアルのお知らせ、割引キャンペーンの招待メールを送れば、購買へと繋げられる可能性が期待できるでしょう。

スコア毎に取るセールスアクションを変える

リードスコアリングを行い、優先順位付けがしやすくなれば、取るべきセールスアクションを変えられます。

たとえばスコアの高いA社には「購入見込みが高いので今すぐアプローチをかけ商談へつなげる」といったセールスアクションを取ることで、スピーディーな成約につなげられる可能性が高いでしょう。

一方スコアがやや低いB社には、電話とメールで反応を検証し、更なる施策を考える……というふうに、見込み度に応じた最適なセールスアクションを取れるようになります。

なお、スコアの高さに応じたアプローチを行うことには「顧客にとって不快に感じる営業、コミュニケーション」を減らす効果もあります。

顧客と適切な距離感でコミュニケーションを取れれば、企業イメージの低下を防ぎつつ関係を維持できるようになるでしょう。

まとめ

本記事では、HubSpotスコアリングの基礎知識や利用メリット、設定方法、注意点、活用例をまとめてご紹介しました。

効率的な営業・マーケティング活動には、顧客の属性・行動・興味関心などを正確に把握する必要があります。その一助となるのが「HubSpot スコアリング」であり、数値化して基準を定めることで適切なアクションを取ることができます。

またスコアをもとに顧客育成を行いホットリードを増やしていけば、将来的な顧客の獲得につながります。安定した利益を獲得したいならば、ぜひHubSpotのスコアリングを活用してみましょう。

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本記事がスコアリングの利活用にお悩みの方の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。