ダッシュボードは企業や組織における事業活動のデータを集約し、可視化することで経営判断をしやすくし、各種目標を達成するために役立つツールです。
日々の業務で生じるデータを有効活用するためにも、ダッシュボードに関する理解を深めて使いこなせるようにしていきましょう。
今回はダッシュボードに関する基礎知識、メリット・デメリット、そしてLooker Studioのダッシュボードがおすすめな理由についてお話します。
ダッシュボードに関する基礎知識
はじめにダッシュボードに関する基礎知識について解説します。
ビジネスやマーケティングにおけるダッシュボードとは何か
ビジネスやマーケティングにおけるダッシュボードとは、経営状況や各部門や担当者の予算進捗状況など、事業活動の中で得た様々なデータを集約し、グラフや表などを使って可視化しやすくすることで、状況の把握がしやすくなるツールです。そしてダッシュボードはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールでもあります。
BI(ビジネスインテリジェンス)とは事業活動における日々蓄積されていく情報を、集約し分析できるようにする仕組みや考え方です。異なる部門や部署で時系列的に蓄積されていく情報はそのままでは分析や意思決定に活用することは難しいですが、、ダッシュボードのようなBIツールを利用して可視化することで、情報の共有がしやすくなり、意思決定の判断材料として役立てることが可能になります。
ダッシュボードを導入すべき理由
ダッシュボードを導入すべき理由として、ビジネスにおける各種情報をデジタル化することでデータ収集や加工に掛かる手間を削減し、見たい指標をリアルタイムに把握できるようになることが挙げられます。
例えば、従業員一人一人の業務や作業の進捗状況、日々の売上と原価の推移、週または月ごとの部門単位・個人単位で見た目標達成状況など、事業を推進するためにに必要な情報がバラバラに管理されている状態で状況を把握するためには、データを集約した上で加工する手間が必要です。
更に、業務や作業の中で日々データ量は増えていきますし、会社の方針や事業の見直しなどがある際に取り扱うデータの内容や見たい指標が変った際、その都度、手動で対応するのは現実的ではありませんし、リアルタイムに状況を把握することは難しいでしょう。また、手入力で紙のデータを入力したり、Excelシートなどからデータを転記する作業が増えれば、ケアレスミスやヒューマンエラーによる影響で、データの信憑性が失われます。誤ったデータを活用し、謝った意思決定が行われることで、最終的には事業全体に影響を及ぼす可能性があるためデータの正確性を担保するのは非常に重要です。
ダッシュボードの導入は難しいかどうか
ダッシュボードの導入が難しいかどうかは、業界及び業種によるビジネス環境の違いや、企業がデジタル化に対応できているかによって変化します。例えば常日頃からパソコンも含めて、デジタルデバイスやデジタルツールを利用して、ダッシュボードの基となるデータが存在しているような職場環境であれば、ダッシュボードの導入は決して難しいものではありません。しかし、パソコンやタブレットなどのデジタルデバイスを利用することが難しい業務内容だったり、部門や部署で扱っているデータが全く違うなどの場合は、ダッシュボードを導入してデータを可視化するような環境を構築するには時間がかかる可能性もあります。
同時にデジタル的な基盤がある程度整っているような環境であれば、導入から実務で運用できる段階までそう多くの時間はかからないでしょう。ただし、ダッシュボードも含めてBIツールについては、導入しても、どのようなデータを使って分析するべきかのノウハウや、別システムが管理されている営業データと広告データを掛け合わせて指標を表示するためのITスキルが不足しているなどが原因となり、本来実現したいことが中々達成できない場合があります。、もし自社で対応が難しい場合は、外部の専門家など適切なサポートを受けた方が時間もコストもかからない場合があることも覚えておいてください。
ダッシュボードの活用するメリット
次にダッシュボードの活用するメリットについて解説します。
リアルタイムの現状を把握しやすい
ダッシュボードの活用するメリットとして、見たい指標や数値についてリアルタイムの現状を把握しやすいことが挙げられます。例えば、営業担当者に直接進捗状況を聞いたり、売上の状況を見るためだけにシステムを立ち上げたりする必要はありません。同時に進捗率や売り上げの達成率などにおいても、わざわざ手動で計算して算出する必要もなく、瞬時に表示されるため直感的に情報の把握ができるようになります。
また、部門や部署を超えて様々なデータが集約できることから、経営陣や責任者においてもデータを確認するための時間や労力を大幅に削減することが可能です。データを可視化するための加工や計算などの作業がないこと、手動でないからこそ正確でリアルタイムな数字が確認できることは大きなメリットと言えるでしょう。
経営判断や意思決定が早くなる
ダッシュボードの活用するメリットとして、経営判断や意思決定が早くなることが挙げられます。また、定量的なデータを客観的に見ることで、現状で起こっている事実を受け止めることが可能となり、計画して実行した施策や既存の事業活動の結果を把握できるということです。
市場環境は常に変化し続けているため、経営判断や意思決定が遅くなれば時間の経過とともに状況が悪化したり、本来であれば得られた利益を失う可能性もあります。ダッシュボードに表示される数字の変化を読み解いていくことで、自社の新たな強みの発見や迅速な改善活動を行っていくことで、事業を成長させることにも繋がっていきます。
課題や問題の可視化と改善がしやすい
ダッシュボードの活用するメリットとして、課題や問題の可視化と改善がしやすいことが挙げられます。例えば、状況が悪化している特定の店舗や支店があった場合、集計されたレポートをもとに状況を把握していては状況の悪化していることの発見が遅れます。さらにそこから分析や改善のための対策を行っていては、状況は悪化していく一方です。
ダッシュボードによってリアルタイムで状況を把握できるようになれば、課題や問題の抽出と分析がいち早く行われ、迅速な判断と意思決定が行われることにより状況の改善とさらなる悪化を防ぐことが可能となります。
ダッシュボードを活用する際の注意点
次にダッシュボードの注意点について解説します。
数値化できない定性情報の重要性も考慮する
ダッシュボードの活用する注意点として、そもそもダッシュボードは数値化しづらい定性情報の可視化には向いていないことが挙げられます。例えば、営業担当者のモチベーション、従業員満足度、顧客満足度、言語化しにくい商品やサービスへの評価など、感覚や感情に近いものについては正確な状態を把握しにくいということです。
そのため、サービスなどは変えてないのに突然新規売上が伸びている、逆に理由がわからないが売上が下がっているといったようなことが起きた場合に、様々な角度から要素を洗い出す必要が出てきます。
従業員満足度であれば離職率の向上や定着率の低下に伴って、職場環境にどのような変化がおきているのかを調査する必要があるでしょう。顧客満足度であれば定期的にアンケートなどを行い、5段階評価のような数値に頼った評価軸だけではなく、顧客の気持ちを言語化してもらうことも必要になってきます。数値化できる情報と、数値化できない情報のそれぞれを分析する手法を持つことが求められるということです。
目の前にある数値のみで意思決定行わないこと
ダッシュボードを活用する注意点として、データとして見えている数字のみを使って事業活動は行わないことが挙げられます。。企業や組織における事業活動の大きな要素としては、いかに利益を増やして事業を拡大させていくかというテーマがあるため、数字を追いかけること自体は間違いではありません。しかし、事業活動の中で意思決定する場面において、目の前の数値のみで進めてしまうと、顧客離れや従業員離れ、商品やサービスの質の低下などマイナスな影響をもたらす可能性があります。。
例えば、利益を増やすためにコストを削減する施策を推し進める際に、事業を大きくするために必要な投資費用まで削減してしまっては事業成長は止まってしまいます。。また、自分たちの事業の強みを分析し、売上がどのような要素で構成されているのか、売上を伸ばすためにはどのよな手段で数字を作っていくのかを検討せずにに従業員に売り上げを作れとだけ言っても目標達成が難しいだけではなく、従業員が無理な働き方をすることで離職率が上がり、結局人不足により売上が上がらない構造ができてしまいます。数字みて活用することはとても大切ですが、目前の数字を構成している要因や、それを作り出す人の要素を忘れないようにしましょう。
多くのデータの中から、必要な数字を見極める必要がある
ダッシュボードの活用する注意点として、必要な数字を見極める必要があることが挙げられます。ダッシュボードで数字を可視化する際に、とりあえず経営や営業に関わる数字を全部出してしまい、不要な数字まで表示されてしまうとダッシュボードを最大限に活用することは難しいでしょう。
・売上の向上:売上、利益、顧客数、顧客満足度など
・利益の向上:売上、固定費、販管費、利益、利益率など
・顧客満足度の向上:顧客満足度アンケート数値、購入単価、継続年数、顧客離脱率など
・従業員満足度の向上:時間外労働時間、、予算達成率、従業員離職率、有給休暇の消化率など
例えば、上記は目的ごとにダッシュボードに表示する一例です。極端なこと言えば利益の向上を目的としているのに、固定費・販管費などのコストの項目がなければ利益を伸ばすためには売上を伸ばすという単純な考えしか生まれず、コスト削減することで利益率を伸ばす余地があっても意思決定できなくなります。数字と数字がどのような関係性にあるのか、同じくどのような影響をもたらしているのかを考え、精査した上で必要な情報を見極めていきましょう。
Looker Studioのダッシュボードがおすすめな理由
次にLooker Studioのダッシュボードがおすすめな理由について解説します。
無料で使い心地を試すことができる
Looker Studioのダッシュボードがおすすめな理由として、無料で使い心地を試すことができることが挙げられます。これからダッシュボードを構築していくために、どのような使い方かを試したい場合や、中小・ベンチャー企業のようにツールに支払う費用を抑えたい場合など、自社の環境や運用にフィットするかを気軽に確認できるということです。
また、Google関連のビジネスツールを利用しているのであれば、データの集約もしやすく、異なるサービスにあるデータも連携しやすいのも魅力と言えます。データが収容されている環境によっては、SQLを書いたり、API接続などのITスキルが必要な場合がありますが、外部サービスとも連携ができることから、その他のビジネスツールを利用している場合においても、データが集約できれば一元管理できるようになるでしょう。
誰にでも扱いやすく見やすい
Looker Studioのダッシュボードがおすすめな理由として、誰にでも扱いやすく見やすいことが挙げられます。ダッシュボードで表示する表やグラフなどのデザインは、GoogleドキュメントやGoogleスライドのような感覚でダッシュボードを作成できます。またデザインについてもGoogleサービス特有のシンプルで見やすい作りになっているため、誰にでも扱いやすく、なじみやすい仕様になっています。
Looker Studioをはじめ、BIツールは、経営層だけが利用するものではありません。むしろ現場に近づくほど毎日細かな数値のチェックに活用するものになります。経営陣や責任者についても同様であるため、ユーザーインターフェースが分かりやすく、扱いやすいことは非常に重要です。Looker Studioであればこれからデータの可視化にチャレンジする企業でも、もっと自社の運用や環境に沿ってカスタマイズしたBI環境を構築したい企業でも十分活用することが可能です。
データの共有や分析がしやすい
Looker Studioのダッシュボードがおすすめな理由として、データの共有や分析がしやすいことが挙げられます。会社全体のデータは勿論、部門や部署単位、、担当者単位でも適切にデータを表示できること、見る立場に合わせて見るべき数値を変えたりも可能なので、数字共有や分析がしやすい環境と言えるでしょう。事業環境の中で生まれる様々なデータを適切に活用することで、適切な判断や意思決定が期待できます。
同時にGoogleに属するサービスであることから、Googleアカウントを使ってで様々な場所からアクセスできること、パソコンだけでなくタブレットでも表示できることから共有もしやすく、デスクワークの部門や部署だけでなく、実店舗や倉庫などでも利用しやすく、業界や業種の違いによる様々な環境変化に適応できるのも活用しやすいポイントです。
まとめ
今回はダッシュボードに関する基礎知識、メリット・デメリット、そしてLooker Studioのダッシュボードがおすすめな理由についてお話しました。
ダッシュボードをBIツールの一つとして、上手に活用していくことで、リアルタイムに正確な状況を把握し、適切な行動に移すことができるようになります。同時に営業活動がデジタル化できることで、より効率的に、最適化された営業プロセスを手に入れることができるようになるでしょう。
当社アンドデジタルでは、Looker Studioも含めて、営業活動のデジタル化に役立つツールやサービスの導入を承っておりますので、是非ともこの機会にご相談、お問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事がビジネスにおけるダッシュボードについて知りたかった方のお役に立てれば幸いです。