KPIダッシュボードとは?具体例・作成方法・ツールについて解説

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KPIダッシュボードを導入したい、もしくはもっと活用したいとお考えであれば、改めてKPIダッシュボードがどのようなものかを理解し、適切に使いこなせるようにすることが求められます。

KPIダッシュボードにどのような情報が表示されるべきか、どのようなツールがあり、最適化や効率化のためにどのように考えるべきかを把握しておくことが大切です。

今回はKPIダッシュボードに関する基礎知識、具体例、Looker Studioをおすすめする理由、営業活動の最適化および効率化に関する考え方についてお話しします。

KPIダッシュボードに関する基礎知識

はじめにKPIダッシュボードに関する基礎知識について解説します。

KPIダッシュボードとは何か

KPIとは、Key Performance Indicatorの略称であり、重要業績評価指標という意味合いを持ちます。簡単に表現するならば、事業活動の目標達成のために完了または超えるべき指標を表しています。そしてKPIダッシュボードとは、事業活動全体の最終的な目標を達成するためにクリアしなければならない到達地点に対して、企業や組織全体、部門や部署、もしくは担当者ごとの進捗状況を表やグラフなどを使って可視化し、把握しやすくするための仕組みです。

KPIダッシュボードが積極的に活用される以前は、企業や組織全体で超えるべき目標に対して、部門や部署、チーム、個人単位に細分化していった目標を、部門・部署単位などで個別に進捗管理していました。更にそれらは別システムだったり、別々のスプレッドシートなどで管理されていることが多く、各部門や担当者で共通管理するためには、データを加工、整理し、それらを一つのデータにまとめる必要があったため、データ可視化するまでにかなりの労力を費やす必要がありました。KPIダッシュボードの仕組みを活用すると、別々のデータソースから欲しいデータを抽出し、KPI管理をするために必要なデータを必要な人に簡単に表示できるようになるため、可視化と把握までのプロセスが一気に短縮することができます。

KPIダッシュボードの重要性

なぜKPIダッシュボードが重要なのか、その理由は目標を達成するために、社内外の状況に合わせて事業の方向性や施策を調整し意思決定を行うために、経営状況の変化をリアルタイムで把握する必要があるためです。事業活動においては、日々様々な変化が訪れます。その要因は競合他社や業界の変化、技術の進歩などによる外的要因と、社内の目標値や予算の変更や組織編成、人員の入退社などによる内的要因が複雑に絡み合うことで、突然売上が増えることもあれば逆に減ってしまうこともあります。

一過性の売り上げの減少であれば、時間の経過とともに回復するかもしれません。しかし、何らかの課題や問題があり、売り上げが減少しており、その原因をつきとめず、何の対策も打たずに運用を続けてしまえば、企業や組織として成り立たなくなってしまいます。KPIダッシュボードによって日々の変化を可視化し、様々な角度で分析・評価することができれば、変化の起点を事前に察知する機会が増やし、適切な対応をすることで、変化し続けるビジネス環境のなかで安定的な経営を実現できるようになるでしょう。

KPIとKGIの関係性

KGIとは、Key Goal Indicatorの略称であり、重要目標達成指標という意味合いを持ちます。企業や組織として、一定の期間内に達成したい目標を数値で示したものであり、KGIを設定することで定点的かつ時系列的な進捗状況が判断しやすくなるのです。

そしてKPIはKGIを細分化したものであり、部門や部署、担当に合わせてそれぞれの目標となる指標になります。KPIによって、個々の部門や部署、担当者が何をすべきか明確になり、日々の業務や作業に対して集中できるようになり、効率化や最適化を進めながら、目標を達成できるようになるのです。

KPIダッシュボードの具体例

次にKPIダッシュボードの具体例について解説します。

事業活動全体の売上や利益など目標や予測した数値

・売上高
・利益
・粗利益
・営業利益
・経常利益
・純利益
・売上成長率
・利益率

上記は事業活動全体の売上や利益など目標や予測した数値の一例です。経営陣や責任者が最も注目すべき数値でもあり、リアルタイムに可視化されることで経営状況の判断ができるようになります。各部門や部署、もしくは営業担当者ごとの数値を合わせて把握しておくことで、何が好調で何が不調なのか、どのような変化が起きていて、なぜそれが起きているのかなどを細かく理解することが可能です。

その他にも既存顧客の意見、カスタマーサポートへのクレーム、同業他社などの新商品やサービスに対する影響を精査し、数値化しにくい部分を合わせて活用することで、結果に対する因果関係を見つけだし、プラスマイナスの影響が判断しやすくなります。状況に合わせて追加投資や撤退・縮小などの意思決定ができるようになることで、売上の低下に歯止めをかけて、逆に好調な時は伸ばしていくことができるようになるでしょう。

部門や部署ごとの進捗状況に関する数値

・新規受注数
・受注金額
・成約率
・クレーム数
・在庫数
・欠品数
・業務や作業の進捗状況
・稼働時間
・時間外労働時間

上記は部門や部署ごとの進捗状況に関する数値の一例です。どの部門・部署が売上に対してポジティブな影響を与えているのか、逆にネガティブな影響・ボトルネックとなっているのかを判断し、改善や成長しやすくなります。

例えば、明らかに部門で立てた目標に対して達成状況が低く、調査をしてみると質の問題ではなく単純に人材不足が原因だったり、人材は揃っているもののスキルやナレッジが属人化していて目標の達成にばらつきがあったりするのであれば、人材の再配置や再教育を行うことで改善できるかもしれません。またはポジティブな影響を与えている部門や部署、個人が特定できれば、ノウハウやナレッジを共有することで効率化や最適化につなげることも可能になるのです。

営業担当者ごとの営業活動に関する数値

・アポイント数
・商談数
・成約数
・受注金額
・客単価
・成約率
・新規顧客獲得数

上記は営業担当者ごとの営業活動に関する数値の一例です。営業活動においては、営業担当者のノウハウ・ナレッジ・能力・経験によって、実績や成績に差が出てきます。いわゆる属人化しやすい職種でもあるため、求人や管理職としては調整を行いながら、特定の担当者に依存することがないように調整していく必要があるのです。

KPIダッシュボードによって営業担当者の能力を可視化し、データに基づいて優秀な営業が誰なのか把握できるようになれば、ノウハウやナレッジを共有しやすくなります。結果として特定の担当者に依存することなく、同じく特定の担当者に過度な負担を押し付けることもなくなるため、安定的に目標が達成できるようになるでしょう。

KPIダッシュボードの作成はLooker Studioがおすすめ

ノートPC

次にKPIダッシュボードの作成にはLooker Studioがおすすめな理由について解説します。

KPIダッシュボードに表示する項目を簡単に設定できる

Looker StudioはGoogleが提供するBIツールであり、同じくGoogleが提供する幅広いサービスやツールを中心に、様々なデータを連携し、取り込んで可視化することができます。もっとも身近なGoogle系のサービスですとスプレッドシートやGoogleアナリティクス、また身近なデータというとCSVファイルなどが連携可能です。KPIダッシュボードに表示する項目を簡単に設定できるのも特徴であり、KPIダッシュボードに表示するためにデータの加工や編集を行う必要はありません。

KPIダッシュボードに表示する項目についても、単に数字だけでなく表やグラフ、マップやチャートなど様々な視覚的技法を用いることができるため、直感的にデータを把握しやすくなるのも大きな利点です。

また、KPIダッシュボードの活用がうまく進まない理由の一つに、データを表示するまでにかかる労力や時間的なコストがありますが、Looker Studioを利用することでバラバラのデータを集約することができます。一度設定さえしてしまえばデータが更新される度にリアルタイムにKPIダッシュボードが更新されるのもおすすめの理由の一つです。

ユーザーインターフェースが見やすく分かりやすい

Looker Studioはユーザーインターフェースが見やすく分かりやすいのも特徴の一つです。Googleドキュメントやスプレッドシートのような形でアイコンなどを用いて見やすく表示されており、基本的にはクリック操作や簡単な値の入力でKPIダッシュボードを表示できるようになります。シンプルな見た目とフォントサイズやカラー調整も簡単に指定できるので、実務の現場でもなじみやすいユーザーインターフェースであることから、まずは簡単なデータ群から可視化していき、その後必要に応じて取り扱うデータを増やしていくような運用をすることで、導入から活用する段階まで進めやすいのも特徴です。。

また、Looker Studioはクラウド型であり、Google Cloud(旧GCP:Google Cloud Platform)上で提供されていることから、セキュリティに関しても信頼性が高く、社外環境やPC以外のデバイスでも利用できるのも非常に魅力です。本社や支店、もしくは倉庫や実店舗など、異なる場所でも一元的にデータの可視化と共有が行えるようになることから、業務の流れの中になじみやすいのも特徴と言えるでしょう。

部門や部署、役職や担当者ごとに細かく設定ができる

LookerStudioは、部門や部署、役職や担当者ごとに細かく設定ができるのも特徴です。そのため、各部門や部署、役職や担当者が必要とするデータや情報を、必要なタイミングで、必要なデータを、必要な姿でリアルタイムに表示し、状況を把握することができるようになります。

それぞれの担当者が自分自身の実績や進捗状況を把握しやすくなることで、目標達成のためにより効率的で最適な活動をするためにはどうするべきかという明確な目的意識を持って選択できるようになります。。特に営業部門の担当者においては、自分の実績が明確に可視化されることで、現在の営業手法や営業プロセスを改善したり、見直したりすることにも役立てることができます。また、上手くいった取組みやノウハウなどを標準化・平準化し、営業部門全体の能力を底上げすることにつながり、結果として利益や売上のアップも期待できるようになるのです。

KPIダッシュボードの活用による営業活動の最適化や効率化の考え方

KPIダッシュボード

次にKPIダッシュボードの活用による営業活動の最適化や効率化の考え方について解説します。

具体的で実現可能な目標および数字を設定する

KPIダッシュボードを活用するためにも、まずは普段KPIを設定する時と同じように、誰が見ても認識がぶれることのない明確な指標で、計測することが可能で実現可能な数値などを設定するようにします。KPIの根本的な考え方でもありますが、人によって目標がブレたり、そもそも計測できなかったり、達成できない目標を設定してしまうと、達成できないことによるストレスや心身への負担が増加してしまうので注意してください。

次のステップとして目標と現状の状況を見比べ、目標達成させるにあたって課題となるポイントを見つけましょう。達成までに超えるべき課題についてどう改善すれば達成できるようになるのか精査しましょう。また、達成できる場合においても、より短時間で効率的に達成するにはどうすべきかということを考え改善し続けることで、最適化や効率化が進むようになると覚えておきましょう。

正確な数値をリアルタイムに可視化できるように努める

KPIダッシュボードを活用するために、正確な数値をリアルタイムで可視化できるように努めることが求められます。各担当者が入力すべき項目は必ず、忘れずに入力してもらうようにすること、自動化できる部分については自動化していくことで、人為的なミスが発生することにより誤った数値が登録される可能性を少なくすることで、正確な数値がリアルタイムに集約され、効率化や最適化はしやすくなるでしょう。

正確な数値をリアルタイムに可視化できるということは、事業活動の現状を正確に把握できるということでもあります。結果として目標の達成率や進捗状況が正確なものであることが担保されるため、状況の変化に合わせて経営判断と行動ができるようになります。

状況に応じて経営判断と行動ができるように整える

KPIダッシュボードによって、可視化されたリアルタイムで正確な状況に対し、経営判断と行動ができるように整えることも重要です。売上が伸びているポジティブな状況であれば、コストの削減や負担を減らしながらさらに売上を伸ばすために何をすべきか考え、状況が悪化しているネガティブな状況であれば、改善のために何をすべきか精査し、実行に移すことが求められます。この行動に対する結果に対して、因果関係がある変数がなんなのかを考えるロジックは非常に重要です。

また「データを見て、注意や激励して終わり」ということにならないようにするためにも、経営陣や責任者、管理職がそれぞれの権限に合わせて要因を考えて、行動に移せるようにしましょう。同時に状況を分析できるように、j経営陣や責任者、管理職が自社の事業の特徴やデータを使って意思決定する経営方法を学んでいくことも重要と言えます。状況が悪化しているのに打つ手がない、逆にさらに伸ばすための手段がないということがないよう、新しい営業手法やマーケティング手法を取り入れながら、どこに投資すれば効果的かなども考えていけるようになると良いでしょう。

まとめ

今回はKPIダッシュボードに関する基礎知識、具体例、Looker Studioをおすすめする理由、営業活動の最適化および効率化に関する考え方についてお話ししました。

Looker Studioを導入し、活用することで、事業活動の成長に必要な情報の可視化と把握による改善が実現します。データの集約や分析においても、時間や労力の負担を増やすことなく、判断や行動するための時間を確保できるので大変おすすめです。

当社アンドデジタルでは、Looker Studioの導入も含めて、デジタル技術によるビジネスの成長をサポート・支援しております。営業活動やマーケティング活動のデジタル化を進めたいとお考えであれば、是非ともこの機会にご相談、お問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事がKPIダッシュボードに興味をお持ちの方のお役に立てれば幸いです。