HubSpotのCMSとは?使い方や導入のメリット・注意点を徹底解説

HubSpotのCMSは、ウェブサイトやブログ記事の作成・公開作業が容易になるだけでなく、ビジネスを加速させる有効な選択肢です。しかし、そのほかのCMSとの違いが分かりにくく、導入を迷っている人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、HubSpotの機能や料金プラン、導入のメリットなどをわかりやすく解説します。注意点や使い方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

HubSpotのCMSとは

ノートPCが開かれて「CONTENT MANAGEMENT SYSTEM」の文字の画面

CMSはContents Management Systemの頭文字をとった呼び名で、Webサイトのコンテンツを管理するシステムを指します。HTMLやCSSなどの言語をサイト制作者が直接入力せずとも、ページを構成・公開できることが大きなメリットです。

CMSは数多くの企業から提供されており、無料のものから有料のものまで多様な選択肢があります。今回ご紹介するHubSpotのCMSも、それらの選択肢の1つです。

そのほかのCMSと大きく異なっている点として、母体がCRMプラットフォーム(注)であることがあげられます。CRMが持つマーケティング機能を活かし、ウェブサイト訪問者を追跡することで訴求力の高い情報の提供を可能とします。

(注)CRMプラットフォーム:マーケティングや営業に役立つ複数のソフトウェアを組み合わせたツール

HubSpotのCMSの基礎知識

グラフのアイコンにパズルのピースを入れようとしている画像

ここでは、HubSpotのCMSの機能や料金体系、連携可能なツールを紹介します。

HubSpotのCMSの機能

HubSpotには次のような機能が備わっています。

カテゴリ機能詳細
WEBサイト構築SEO推奨(アドバイス)ウェブサイトの改善につながるヒントの提供
ウェブサイトテーマカスタム可能なテーマ別デザインの提供
ドラッグ&ドロップエディターページ作成・更新・公開を簡易におこなえる機能
ウェブサイト分析適応型テストページのバージョン別の比較テスト機能
コンタクト アトリビューション レポートウェブサイトのパフォーマンス分析
カスタムレポート ビルダーウェブサイトの効果を確認できる機能
顧客管理・パーソナライズ化統合型のCRMCRMデータを活用した訪問者追跡・分析機能
多言語対応複数言語のドメイン管理、ユーザーによる言語切り替えに対応
コミュニケーション機能ウェブチャット、チャットボット作成ツールなど
セキュリティアクセス権ウェブサイトの領域ごとに管理者や訪問者のアクセス権を制限できる

総合すると、HubSpotのCMSを使用すればウェブサイト訪問者の獲得(リーチ)から追跡、分析、ストレスレスな情報提供、効果の確認まで一貫しておこなえるということです。

HubSpotのCMSの料金体系

豊富な機能を備えるHubSpotのCMSですが、利用できる範囲はプランによって異なります。4つのプランの料金と主な機能を見てみましょう。

プラン月額主な機能
無料0円・Starterの全機能
・スマートコンテンツによるパーソナライズ
・高度なSEO推奨事項
・動的コンテンツ
・コンタクト アトリビューション レポートの作成
・A/Bテスト&レポート
・サイトツリー
・電話によるサポート
Starter2,700円(税込)・無料ツールの全機能
・HubSpotロゴの削除
・追加のウェブサイトページ
・追加のブログ記事
・パーソナライズトークン
・ウェブチャットとEメールによるサポート
Professional43,200円(税込)・Starterの全機能
・スマートコンテンツによるパーソナライズ
・高度なSEO推奨事項
・動的コンテンツ
・コンタクト アトリビューション レポートの作成
・A/Bテスト&レポート
・サイトツリー
・電話によるサポート
Enterprise144,000円(税込)・Professionalの全機能
・シングルサインオン(SSO)
・カスタムオブジェクト
・追加のルートドメイン
・パーティション化
・適応型テスト
・ログイン機能によるアクセス制御
・カスタム ウェブ アプリケーション

無料版でもウェブサイトの作成・公開が可能で、CRMデータベースなども活用できます。多くの機能を求めない場合や、まずは試してみたいという場合は無料版を活用してみましょう。

また、有料版をご利用いただければ、ウェブサイト上のHubSpotのロゴを削除することも可能です。。有料版は月額支払いのほか、割引のある年間分の一括支払いもあります。割引については記事の後半で解説します。

CMS Hubと連携可能なツール

HubSpotには連携可能なCMSアプリが豊富にそろっています。参考としてHubSpot向けアプリのなかからインストール数上位5つのアプリを見てみましょう。

  • Canva:豊富なテンプレート、写真、アイコンなどを揃えたデザインツール
  • Wix App:トラッキングと分析が可能な見込み客のマーケティングに役立つツール
  • CoSchedule:キャンペーン管理、進捗管理に役立つスケジュール管理ツール
  • Beacon:コンバージョン率(注1)を高めるリードマグネット(注2)設計ツール
  • Ceros:インタラクションやアニメーションなどインタラクティブなコンテンツの作成ツール

このほかにも、コンバージョン率を高めるAIツールやマーケティング支援ツールなど、多様なアプリと連携可能です。また、他社が提供する無料アプリ、例えばGmailやGoogleカレンダー、Facebook広告などとも連携でき、メール送信先の顧客が開封してくれそうなタイミングを狙ってアプローチしたり、広告経由の顧客をトラッキングして自動でリードを管理できたりします。

(注1)コンバージョン率:商品購入や申込などウェブサイトの目的に対する成果達成率
(注2)リードマグネット:見込み客が個人情報を提供してでも欲しくなるコンテンツ

HubSpotのCMSを導入するメリット

DEMERITではなく、MERITに傾いているシーソーの画像

続いて、HubSpotのCMSのメリットを解説します。ウェブサイトに求める機能やサポート体制などが希望と合致するかを確認しましょう。

簡単にWebサイトの最適化が可能

先述のとおり、CMSはHTMLやCSSなどによるコーディングを行わなくてもウェブサイトを作成できることがメリットです。加えて、HubSpotのCMSはウェブサイトの目的に応じた最適化が容易である点が大きなメリットといえます。

豊富なデザインのパターンからカスタマイズできるため、初心者でもプロ並みのウェブサイトを作成できます。また、CRMの機能を活かし、訪問者の行動や興味に最適化された情報を届けることも可能です。

さらに、SEO推奨機能や戦略分析に役立つレポート機能があるため、ウェブサイトのパフォーマンス向上・改善のヒントを得られます。これらを参考にしながら定期的な対策を講じれば、高いパフォーマンスを維持できるでしょう。

専門家によるセキュリティ対策完備

HubSpotのセキュリティーチームが無休体制で監視、脅威の検出をおこなっています。攻撃や不正使用を自動・手動の2軸でチェックし、安全性を確保する仕組みです。また、標準のSSL証明書(注)を自動で使用できるため、Googleの検索順位向上にも役立ちます。

そのほか、エラーやサービスの中断が生じた際の報告をはじめとするパフォーマンス監視機能、大量トラフィックにも対応するコンテンツ配信ネットワークを備えています。専門家によるセキュリティ対策と各種機能によって、安定稼働を実現できるでしょう。

(注)SSL(サーバー)証明書:通信先のサーバーが実在することを証明し、個人情報が悪意ある第三者から見られることを防ぐ暗号化のための鍵。SSL暗号化通信で公開されたウェブサイトのURLは「http」ではなく「https」ではじまる。Googleは「https」のウェブサイトであることを検索順位の評価要因としている。

ローカル環境での開発に対応

GitHubなど、ローカル環境で使い慣れているツールを活用しながらウェブサイトを構築できることも、HubSpotのCMSのメリットです。既存の環境を活かせるため、開発者の心理的負荷を下げることにもつながります。

また、他社製品を含めた各種サービスをAPI経由で操作可能にする、サーバーレス関数を使用できることもメリットです。イベント登録の際、外部サーバーやSSL証明書、データ転送プロセスを別途構築する必要がありません。

さらに開発者向けのドキュメントや開発者コミュニティーも用意されているので、各種アプリやツールとの連携を含め、アイデアを実現するヒントとなるでしょう。

日本語に対応

HubSpotはアメリカ生まれですが、2014年から日本でも販売されており日本語に対応済みです。追加するアプリなどは英語のみ対応の場合があるものの、HubSpotのCMS自体は日本語で利用できます。

また、2016年には日本法人も設立されたため、日本語によるサポートを受けることも可能です。サポート内容はプランによって異なりますが、メール、チャット、電話などの選択肢があります。HubSpotの導入、運用支援に関しては契約前の無料相談も可能です。

基本の機能だけなら永年無料

無料プランでも次のような機能を活用できます。

  • ウェブサイトページ
  • ブログ
  • ドラッグ&ドロップエディター
  • 基本的なSEO推奨事項
  • マネージド クラウド ホスティング
  • CRMデータベース
  • カスタムドメインの接続
  • ウェブサイトのトラフィック分析

つまり、無料プランでもウェブサイトの作成と公開、改善に役立つ情報の確認などの便利な機能は使えるということです。無料プランに期限やデータ量、ユーザー数の制限はありません。ウェブサイトに高度な設定を求めない場合は十分な機能といえるでしょう。

なお、有料プランに加入すると、ウェブサイトページやブログ記事の追加、HubSpotロゴの削除などの機能が付加されます。また、高度なマーケティング機能や訪問者にパーソナライズされたコンテンツの提供などを考える場合は、有料プランがおすすめです。

HubSpotのCMSの必要性

CMSのボタンを選択する男性

完全無料のCMSも数あるなかで、機能拡張には有料プランへの加入が必要なHubSpotのCMSを導入する必要性がどこにあるのかを解説します。

サイト流入数増加・訴求力向上のため

自社の商品やサービスをアピールするためには、潜在顧客を的確に見極め、訴求力の高いアプローチをおこない、なおかつ印象に残る必要が出てきました。商品やサービスの質だけで勝負しても、口コミで広まらない限りは潜在顧客にリーチできません。

その点、HubSpotのCMSにはSEOやサイト流入後のコンバージョン率を高める機能が多数備わっているため、的確なWEBマーケティング戦略を実行できます。商品購入、申し込み、予約、来店を獲得するなど明確な目的がある場合、HubSpotのCMSは有用な選択肢といえます。

開発技術に長けた人材がいなくても構築・運用できる

無料のCMSも多くありますが、訪問者の獲得・魅力的なコンテンツの提供には開発技術に長けた人材がいないと難しいケースが少なくありません。社内に人材がいない場合、他社へ構築と運用を依頼することもあるでしょう。

たとえば、シェアの大きいWordPressはオープンソースのCMSです。利用者の目的を問わずソースコードを使用でき、改良や拡張も可能です。ただし、ソースコードを取り扱えるウェブエンジニアが在籍していない場合、幅広い要望を実現するハードルは高いといえます。

その点、HubSpotのCMSはウェブサイト・コンテンツの制作から、コンバージョン率の最適化、パフォーマンスの確認まで初心者でも一元的に管理できることが魅力です。また、サポート体制や利用者同士のコミュニティもあるため、アドバイスを受けられます。

なお、有料プランの月額利用料に関しては、HubSpotのほうが高額です。しかし、WordPressを導入して開発コスト(人件費)をかけるか、HubSpotを導入してサービス利用料(月額)を支払うかの違いといえるでしょう。

HubSpotのCMSを導入する注意点

「!」が書かれた吹き出しの画像

ここまで、HubSpotのメリットや導入の必要性を見てきましたが、注意点もあります。次に解説する3つの注意点を参考に、自社の状況をふまえて判断しましょう。

既存システムと連携できないと余計な手間

既存のウェブサイトからの移行、運用中のCRMとの連携ができない場合、一から設定し直す手間と時間がかかります。新規作成レベルの大幅改善を見込んでいるならHubSpotで作り直すことが有用ですが、軽微な改善を希望するなら不一致の可能性があります。

HubSpotのCMSに魅力を感じており、できれば既存システムを組み合わせて導入したいという場合は、サポートに連絡してみましょう。連携可能なシステムであるかの判断や連携のためのアドバイスを得られます。

システムの習熟に時間がかかる可能性

HubSpotのCMSは初心者でもプロ並みのウェブサイトを構築できること、マーケティングやコンバージョン率の向上まで管理できることが魅力です。ただし、初心者でも可能とはいっても即日すべての機能を使いこなせるほどではありません。

多機能であるからこそ、すべての要望を実現するまでには習熟の時間が必要です。まずはマストの要望を叶えるために必要な機能から使いこなすことを目指しましょう。優先度をつけて取り組むことで、ウェブサイトが稼働できない期間を作らずに済みます。

そもそも導入が必要か専門家に相談

HubSpotはビジネスの成功の近道となるCMSを提供していますが、すべての企業・団体に最適な選択肢かといえば、そうではありません。また、ウェブサイトの必要性は感じていても何を目的として構築すべきか悩んでいる人には、ややハードルが高いといえます。

次のような場合は、専門家に相談することをおすすめします。

  • ウェブサイトを作りたいが、目的をどこに設定すればいいかわからない
  • ウェブサイトを改善したいが、何からすべきかわからない
  • 潜在顧客の層がつかめない
  • 運用コストも含めて慎重に検討したい
  • データは取得しているが、どう活用すべきか悩んでいる

アンドデジタルなら売上向上、ビジネスモデルの創出、競争力強化、業務効率化など多方面に最適なソリューションを提案できます。ウェブサイト以外のデジタル活用も含めて相談可能なので、電話または問い合わせフォームからご連絡ください。

HubSpotのCMSの利用方法

資料の上にアイコンが書かれた積み木がおいてある画像

専門家への相談などの結果、HubSpotを導入すると決めた場合にそなえてウェブサイトの作成から公開までのステップを見ておきましょう。

テンプレートを活用して新規作成

テンプレートを活用してページを新規作成する手順は次のとおりです。

  1. 「ウェブサイト」「ランディングページ」「ブログ」から選択

※今回は「ウェブサイト」を選択した場合で説明します

  1. 「ウェブサイトページを作成する」をクリック
  2. テンプレートを選択
  3. ポップアップされるテキストボックスでページ名を入力
  4. 「ページを作成」をクリック

これでページは作成されました。次は記事の編集と設定です。

記事の編集・設定をしてから公開

HubSpotのCMSはモジュールごと(文章、画像、タイトルなど)に編集でき、置きたい素材を配置するだけでページを構成できます。手順は次のとおりです。

  1. サイドガイド(左側)にある「モジュールの編集」をクリック
  2. 画面上部が「コンテンツ」になっていることを確認
  3. テキストや画像などを変更し、「保存してモジュールリストに移動」をクリック
  4. プレビューを確認する
  5. 画面上部で「設定」をクリックする
  6. 内部ページ名、タイトル、メタディスクリプション、URLなどを設定
  7. 「保存」後、問題なければ画面右上の「公開」をクリック
  8. ポップアップで「ウェブサイトページの公開の準備はできていますか?」が表示されるため「今すぐページを公開」をクリックする

編集から公開まで、HTMLやCSSなどでコーディングをおこなう必要がないことがわかります。直感的に操作できる部分も多いので、まずは無料版に申し込んでウェブサイトを作成し、プレビューで見てみましょう。

HubSpotのCMSでよくある疑問

「FAQ」の積み木とスマホ画像

最後に、HubSpotのCMSでよくある疑問2つに回答します。

有料プランを安くする方法はあるか?

StarterプランとProfessionalプランに関しては、月額支払いではなく、一括支払い(1年分)にすれば10%引きで利用できます。月額支払いと一括支払いの場合の金額差は次のとおりです。

項目月額換算年額換算
Starter月額支払い3,000円(税込)36,000円(税込)
Starter一括支払い2,700円(税込)32,400円(税込)
Professional月額支払い48,000円(税込)576,000円(税込)
Professional一括支払い43,200円(税込)2,700円(税込)
※Enterpriseプランには一括支払いの割引はありません。

HubSpotのメリットから見るおすすめのケースとは?

HubSpotのCMSには、次のようなメリットがあります。

  • 開発知識のない営業担当者やマーケティング部署の人材でも更新できる
  • 無料で利用できる機能が多い
  • SEOアドバイスが的確で改善までのステップがスムーズ
  • マーケティングツールの導入としても便利
  • サポートがあって安心感がある
  • 数多くの機能を考えると人件費をかけるよりコストダウンにつながる

これらを総合すると、次のような課題を抱えている場合に有用な選択肢といえます。

  • 社内に開発人材がいない、少ない
  • 自社に合うツールを探していて、いろいろ試してみたい
  • ウェブサイトの目的は明確だが改善策に悩んでいる
  • 自社で構築・運用しコストダウンにつなげたい(現在は他社へ依頼)

自社の課題とHubSpotのCMSで得られるソリューションが合致するのであれば、試してみて損はないといえるでしょう。

まとめ

PCにグラフの資料が書かれている画面を操作している男性の画像

HubSpotはウェブサイトやコンテンツの作成・公開に便利なだけでなく、パフォーマンスの確認と改善、マーケティングにまで役立つサービスであることがわかりました。

現代のビジネスにおいて他社と差別化をはかるには、商品やサービスの質だけでなくオンライン上で顧客にアプローチすることも必須です。HubSpotのCMSを使えば、専門知識に長けていなくても、ウェブサイトをとおして潜在顧客へアプローチできるでしょう。

なお、ウェブサイトの方向性や最適なツールに迷いがあるなら、アンドデジタルへご相談ください。HubSpotの導入検討を含め、課題の発掘から改善まで的確なソリューションを提案します。